竹と動物

マウンテンゴリラ

 アフリカの ザイールの奥地の警告にあるカフジ・ビエの国立公園は、多くのタケの自生地である。この竹林の筍はまた、マウンテンゴリラの生命をつなぐ糧ともなっている。雨季になって洪水に追われたマウンテンゴリラの群れは、この竹林に入り、一メートルほどに伸びた筍をポキッと尾って皮を剥ぎ、柔らかいところだけを食べる。なにしろ300キロを越す大物の群れが、移動しながら何日間も食べ続けるのだから、その量たるや膨大なもので、食害の跡は惨たんたるありさまである。

ところが タケには不思議な性質があって、はじめにできた筍を採ると、次に用意された筍がすぐにし生長し、それが採られると、またすぐその次の筍が・・というように次つぎに出筍する、いわゆる出筍補充性という特性を持っている。

パンダ

パンダやレッサパンダをはじめ竹笹を好む動物は多い。四川省、雲南省からヒマラヤと広く分布し、竹をはじめ木の実とか小動物を食べる。イボハナザルも海抜24メートルに住み竹を好んで食べる。

ニューギニアの竹のナイフ

 ニューギニア高原人は、ブタを切るときのナイフを使う。

竹を裂いてつくった。竹ベラみたいなものだ。竹細工をして手を切った

経験がおありの方にはおわかりのことだろうが、竹をそいだらたいへん鋭利な刃物になる。この竹の包丁でブタを一頭解体してしまう。骨をたたき切ることはできないが、解剖学的に非のうちどころのない正確さでもって、関節のあいだに竹の庖丁を入れて、たちどころにブタを一頭ばらばらにしてしまう。

赤ん坊のヘソの緒を切るのも竹の庖丁である。(食卓の文化誌 石毛直道著)